2024年度理事長所信

【はじめに】

故郷は好きですか。

故郷の未来について、真剣に考えたことはありますか。

故郷の明るい未来は見えていますか。

大切な人の幸せな未来は見えていますか。

大切な人を笑顔にするためには、どんな未来にすべきでしょうか。

大切な人を笑顔にできるのは、私たち一人ひとりの力です。

大切な人の笑顔、地域の明るい未来を創るためにJCがある。

未来は、JAYCEEに託されている。

「よし、始めよう俺たちの未来への挑戦」

 

志高い青年が集い、全国で450番目の青年会議所として1970年10月14日、一般社団法人原町青年会議所(以下JCI原町)は誕生しました。

これまで、熱き思いと高い志が先輩から受け継がれて参りました。我々は、どんな時も止まることなく、「明るい豊かな社会」を実現するため、幾度となく時代の変化に対応し、多くの困難に立ち向かいながらも、我々が暮らす地域をより良くしたいという想いで、JC運動に邁進してきました。

私は2021年、原町青年会議所に入会し、諸先輩方が築き上げてきた歴史を大切にし、この故郷に必要なひとづくり、まちづくりについて仲間と共に日々思考し、行動し続けています。

JCI原町の54年の歴史の中でも、特に近年においては、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故や、未曾有の自然災害、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による世界各地でのパンデミックによって、経済活動の停滞や衰退、外出自粛による交流の場の減少など、私たちの生活が一変してしまいました。

しかし、新型コロナウイルスとの向き合い方を掴みつつある今、偲ぶばかりではなく、次への新たなスタートを切るべき時期が訪れようとしています。我々は、コロナ禍の状況の中でも活動を止めることなく知恵を絞り、多くのことを学んできました。だからこそ、今後窮地に追い込まれたとしても、地域の課題解決に真正面から向き合い挑戦し続けることができるでしょう。

東日本大震災当時は、原子力発電所事故により、私たちの地域は、避難指示地域に指定され、立ち入り禁止になり、人口がゼロになった地域がありました。

決して映画のワンシーンではありません。

現実に起こってしまったのです。

5年間、時がとまった故郷。

「私の故郷はどうなるのだろう」

私たちの地域から笑顔が消えた瞬間を経験したのです。

家族は、放射能の懸念からばらばらに生活し、自分の無力さに愕然としながらも、地域に対する想い、情熱だけを道標にがむしゃらに、行動してきたことを今でも覚えています。

震災から12年が経ち、私たちの地域は、日常生活を取り戻しつつあります。しかし、残念ながら震災の避難の影響から、若者の地元離れが進み、それに伴い高齢化率が急激に上昇し、後継者不足が深刻化しているのが現状です。だからこそ、我々、若者一人ひとりが声を大きくあげ行動し、運動をおこして人を引き寄せることが必要だと考えます。

我々が暮らすこの地域をより良くしていくために、必要なのは何ですか。

個々の志と知恵、そして、立ち止まることなく故郷のために行動を起こし挑戦し続ける想いです。

今年度のスローガンを「未来へ~挑戦が全てを変える~」と掲げさせていただきました。

我々JCI原町は、地域の青年経済人として、より多くの地域の方に影響を与える運動をすべきであると私は考えます。

我々なら地域を変えることができる。より良い、明るい豊かな社会を作ることができる。それは、一人ひとりの志により動き出すものです。

なぜ、JCに入会したのか、JCに入会して誰のために運動をしているのか、どのような「未来」を求めて運動しているのかを考えてみましょう。私は、家族をはじめ、自分を心身共に支えてくれる身の周りの方や地域の方々の「未来」のためです。

「未来のみんなの笑顔が見たい」

誰も知らない未来のためだからこそ、我々が熱意を持ち、一人ひとりが地域のリーダーとなり挑戦していきましょう。

行動することが一番大切なことであり、行動を起こす原動力となるエネルギーこそ地域に対する想いなのです。

「未来へ~挑戦が全てを変える~」のスローガンのもと、メンバーの一人ひとりに明るい未来を見せられるよう、一人でも多くの笑顔が見られるように、リーダーの中のリーダーとして一年間邁進してまいります。

 

【地域の魅力発信・新たな機会の創出】

我々の地域には、相馬野馬追という国指定重要無形文化財の行事があります。

この相馬野馬追は、一千有余年の歴史があり、相馬中村神社、相馬太田神社、相馬小高神社の三妙見に供奉し、先祖から受け継がれた甲冑に身を固めた約400騎の騎馬武者が、雲雀ヶ原祭場地に向け出陣し、騎馬武者行列や先祖代々の旗指物をなびかせて走る甲冑競馬や、三妙見の御神旗を目掛ける神旗争奪戦、そして、野馬追の原点とも言うべく、裸馬を素手で捕らえ神社に奉納する野馬懸が執り行われる伝統行事です。

今現在、相馬野馬追に際して、地元住民の関与が減少しつつあるという課題に直面しています。馬と密接な関わりを持つ地域ではあるものの、地域住民において、馬と触れ合う機会が減少し、馬の魅力を感じることが難しくなっています。地域住民の「野馬追離れ」を青年経済人である私たちが率先して、解消していきます。

また、開催日変更についても進んでいることから、地域外に向けて、伝統文化である相馬野馬追の魅力を発信して参ります。

 

【未来へつなげるまちの魅力の発掘】

我々の地域の魅力は相馬野馬追だけでしょうか。

我々にとっては当たり前のことが、他地域の方からすると魅力だったりするものです。

我々の地域には、多くの魅力が埋もれています。北泉海岸では、サーフィンの世界大会が開催されております。また、それ以外にも、福島イノベーション・コースト構想の一環でもある福島ロボットテストフィールドなど、他の地域にはない、魅力ある資源があります。

今現在の魅力を発信していくことはもちろんのこと、我々が多角的視点を持ち新たな地域の魅力を発掘していくことにより、地域内に、ヒト、モノ、カネの好循環が生まれると考えます。この地域を明るい未来へ導いていくためにも、我々だけではなく行政や各団体を巻き込み、パートナーシップを組んで地域に新たな魅力を創出して参ります。

 

【未来を担う若者世代への道標】

 全国的にも、高齢化社会に突入しております。我々が生活する南相馬市も例外ではありません。

南相馬市の総人口に占める65歳以上の人口割合は大きく、震災当時の高齢化率25.9%に対して、2040年には44.6%にまで達すると予測されています。震災と原発事故の影響で若者世代が避難、地元から離れての生活を余儀なくされ、年数が経つにつれ避難先での生活への慣れ、仕事や子どもの学業の関係などから、地元離れが進んでいることが、高齢化率の上昇にもつながっていると考えられます。

一人でも多くの若者や、小さな子どもを育てる若者世代が、地元に帰還をすることで、後継者不足の解消や、高齢化率の上昇に歯止めをかけることができると考えます。

震災により避難を余儀なくされ、友達とバラバラになってしまったこの地を思い出し、今現在の故郷を見る事によって、地域に対する想いを呼び起こすきっかけ作りをすることが大事です。

「故郷に戻りたい」

未来を担う若者世代への道標を立て、故郷へUターンするきっかけとなる機会を提供して参ります。

 

【未来の創り手となるリーダー】
子ども向けのアニメにも、リーダーは必ずいるように子どものころから、必ずリーダーは存在します。私が子どもの時にも絶対的なリーダーは存在しました。つねに堂々とし、圧倒的な安心感や発言力、統率力に引き付けられ、自分自身も憧れを抱き、追いかけていたことを今でも覚えています。

子どもたちの中のリーダーが、周囲の子どもたちに影響を与え、共鳴し、育っていくと私は思います。子どもたちのリーダーを成長させることが、地域の未来をより良くしていくためには必要なのです。子どもたちが学校の壁や地域の壁を越えて学べる機会を提供してきます。そして、未来のリーダーを育成し、未来を創造できる機会も提供して参ります。

【未来を切り拓く青少年育成】

生活様式の変化と価値観の多様化により、我々自身の子どもの頃と比べると、子どもたちを取り巻く環境も時代とともに大きく変化しました。インターネットや携帯電話の普及に、知りたい情報は国境を超え、世界中から誰もが瞬時に得ることができます。また、通信技術の発展は、時間や距離の制約もなく新しい価値観や文化を生み出しています。一方で、子どもたち自身が外で遊び、心身ともに鍛える機会が少なくなり、他人と直接的な触れ合いや関係を持ちたがらない傾向が生じております。そこで、子どもたちには、国技である相撲を通じ、勝つよろこびや負ける悔しさを経験することや、相手に対する思いやる気持ちである礼儀礼節を学ぶことがより重要であると考えます。日本の歴史と文化の継承である、日本人として忘れてはならない精神、「心・技・体」を鍛える機会としてわんぱく相撲を開催いたします。

【次代を担うリーダーとして】

この地域を牽引していくための魅力ある団体であり続けるには、会員一人ひとりの成長が必要不可欠です。自ら成長していくためには、学びの機会が提供されているJCにおいても、掴みとるかどうかは自らの選択次第と考えます。能動的に参加し、活動していくことで自己成長することができます。

その成長は自身のためだけのものではなく、日頃から支えてくれる家族と、会社に還元されるものです。自分自身に最大限の負荷をかけ、成長に対して常に貪欲であり続けることにより、誰もが憧れ、未来を語れるリーダーへと進化していきます。私たちは地域を牽引する団体として、地域社会に貢献できるリーダーを輩出し、魅力ある人材を増やし続け、地域の発展に寄与していきます。

 

【LOM交流】

青年会議所に求めるものは人それぞれですが、私は、人と人との繋がりというのが一番の魅力だと思います。繋がりはLOM内だけで完結するものではありません。各地域の志高い方々やLOMのメンバー、友好JCでもある一般社団法人成田青年会議所と積極的に交流し、お互いの事業を知ることにより、JCI原町の運動の可能性を広げることに繋がっていきます。世の中には、自分より優れた人達がたくさんいます。私自身も、出向を経験したことにより、志を高くもつことができ、多くを学び成長することができたのです。悔しい思いをしたこともありました。しかし、自分を否定する必要はありません。なぜなら、多くの人に出会い、交流することで、自分も大きく成長していくのです。組織として一人ひとりのメンバーにとっての学べる機会を創出して参ります。

 

【忘れてはいけない家族へのありがとう・感謝の心】

明るく豊かな社会で生活するためには、まず家庭が幸せでなければなりません。我々が日々のJC運動に取り組めるのは、大切な人の支えと理解があることを、常に忘れてはいけません。例会や総会等に家族や大切な人に参加いただき、我々がどのような活動や運動を行っているかを知ってもらい、そして感謝の気持ちを伝える機会を創出して参ります。

 

【魅力ある組織づくり】

 我々は、地域から信頼される品格ある青年の団体として、常に高い意識をもって当たり前のことを当たり前のように行動していかなければなりません。

皆さん一人ひとりが、原町青年会議所というプライドを持ち、仲間と共に連携をとりながら、様々な垣根を越えて課題解決に向けて行動し、全ての事に対して当事者意識を持つことが大事だと思います。

昨今では、各地域において今までの想定を超える自然災害が多発しております。我々は、災害が他地域で起こったとしても、当事者意識を持ち対応していくことは大切だと思います。さらに、時代が目まぐるしく変わる中で、他人事のように「今までこうだから」ではなく、柔軟に対応できる組織に変化していくことは必要不可欠です。

一生懸命取り組んでいる姿を見せる、見られている意識が魅力ある組織として変わっていくのです。一人ひとりが何事にも当事者意識を持ち、挑戦し行動します。そして地域を先導する魅力ある組織を目指していきます。

 

【未来へ繋ぐ会員拡大】

我々の仲間を増やす会員拡大は、よりよいまちづくりしていくためには、必要不可欠です。会員拡大を行わなければ、我々のような、未来をよりよくするために考える人が減少し、組織が弱体化していくことにも繋がっていきます。さらには、持続可能な社会に向けて運動を展開していくことが難しくなっていきます。

会員一人ひとりが、会員拡大の必要性を理解し、組織全体で意識を高めることが、持続的な会員拡大に繋がっていきます。

また、会員拡大のためには、組織の魅力はもちろんのこと、人の魅力を最大限に発信し、我々の活動を知ってもらうことが大切です。そして、理解し、共感を得て、共に活動したいと思えるファンを作り続けることが入会に導いていくと思います。会員拡大が進むことが、我々の地域をよりよくしていくためのエネルギーになり、よりよい未来、明るい豊かなまちの創造に繋がると確信しています。

 

【創立55周年記念式典に向けた準備】

原町青年会議所は、1970年の創立以来、明るい豊かな社会を実現するため多くの事業を展開してきました。いつの時代の変化にも対応し、社会の課題を解決し、そして地域にインパクトを与え続けてきた先輩方の努力によって、我々の今があります。

今度は我々が、地域にインパクトを与え続ける志を引き継いでいかなくてはなりません。創立55周年式典に向け、我々が歩んできた5年間を振り返り、これからの5年間をどのように進めていくかによって、地域の未来も大きく変わってくるのです。一年間を通して、未来を描きながら議論し、しっかり準備していくことが必要です。

「奉仕・修練・友情」の三信条のもと、よりよい地域の豊かな社会を目指して、新たな未来へ挑戦していきましょう。

 

【結びに】

人は心で動くものです。口で理屈を言うのは簡単です。でも、人は理屈と発想だけでは動かないもので、そこに知恵や個々の能力を注ぎ、発揮する情熱が必要なのです。情熱が人を動かします。いくら素晴らしい人でも一人では地域を変えることはできません。

しかし、私たちには仲間がいる。困難な状況の中にあっても、支えてくれる家族や周りの方々の力がある。大変だからこそ、その困難な状況を乗り越えることで、大変の言葉の通り、ヒトは大きく変わるのです。

大切な人のために、この地域のよりよい未来をつくるために、JCI原町は、組織が一丸となり、会員一人ひとりが地域のリーダーとなって多くの方を巻き込んで参りましょう。

我々の地域、大切な人の幸せな笑顔と、地域の人の一人でも多くの笑顔を作れるよう組織一丸となって取り組んでいきましょう。

 

そうすれば、明るい未来が必ず待っている。

 

みんなとなら必ずできる。

 

JAYCEE、そしてJCの底力を見せるときだ。

 

この地域、大切な人、未来のこどもたちのために。